ミサイル用語集
A-E F-I J-M N-R S-Z

あ・ア
アクティブセンサ(active sensor)
目標の探知・識別のために目標に向かってエネルギーを照射し、その反射エネルギーを観測するセンサ(例・レーダー)。

アクティブホーミング(active homing)
能動的追尾で目標への照射源と目標照射の結果反射されてくるエネルギーを探知する受信器を両方持っていて自ら目標を探知し追尾できる誘導方式。

アクティブ防衛(active defense)
対弾道ミサイルシステムなどの防衛兵器で宇宙または大気圏内で味方の民間・軍事目標を防衛すること。

イージスシステム(aegis system)
アメリカ海軍の艦隊防空用ミサイルシステムで、ミサイルや航空機による攻撃から空母機動部隊を防衛する。

イールド(yield)→核威力


イメージング(imaging)
目標の高解像画を得るために対象を識別するプロセス。

イメージングセンサ(imaging sensor)
レーダースクリーン上の単なる点ではなく目標認識の助けとなるイメージを作り出してくれるセンサ。

撃ち放し(fire and forget)
ミサイルの母機がミサイルを発射したらすぐ退避行動がとれる能力をいう。ミサイルは自律的に目標を目指して飛び母機の助けを必要としない。

エアブリーシングミサイル(air-breathing missile)
ラムジェットやターボジェットのようにその燃料を燃焼させるために空気の吸込みを必要とするエンジンを持つミサイル。

エアロジン(aerozine)
ヒドラジン(MMHとUDMH)を基本としたロケット燃料ファミリー名。

オーバープレッシャ(overpressure)
ある核爆発からある場所で経験されたピークの正・負圧力。

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か・カ

カウンタカウンタメジャ(counter-countermeasure)
カウンタメジャを打ちまかすためにとられる手段。

カウンタバリュー(countervalue)
主要な目標を非軍事目標に置く戦略照準ドクトリンでCountercity ともいう。

カウンタフォース(counterforce)
主要な目標をハードな軍事目標(核ミサイルサイロ、指揮・管制施設、爆撃機基地、潜水艦基地など)に置く戦略照準ドクトリン。

カウンタメジャ(countermeasure)
防衛兵器システムを打ちまかすために攻撃側が取る手段で、しばしば攻撃ミサイルが敵の対ミサイルシステムを突破することを保障するためにとられる手段をいう。

核威力(nuclear yield)
核兵器爆発により放出されるエネルギー量のことで同じエネルギーを放出するのに必要なTNT爆薬のkT(キロトン)またはMT(メガトン)の項で測る。威力は次のように分類される。Very Low(1kT未満)、Low(1以上10kT未満)、Medium(10以上50kT未満)、High(50以上500kT未満)、Very High(500kT以上)。

カットオフ(cut off)
ミサイル(ロケット)がシャットオフされる点で、ある燃料は燃えないで残っている。

カナード(canard)
ミサイルの前部の小翼。

慣性誘導(inertial guidance)
ジャイロスコープや加速度計を用いて加速度を測ることにより、その現在位置を関知しミサイルをまったく外部情報を観測するセンサなしで独立で予め決められた飛行経路上を飛ぶように設計された誘導方式。

兄弟殺し(fratricide)
前の攻撃ミサイルの爆発により後の攻撃ミサイルが破壊または損傷をうけること。たとえばミサイルサイロのように近接した目標の大規模攻撃の効果が弱められる結果になる。先に爆発した弾道の破壊力により、次に到着したミサイルの弾頭が破壊されること。

キロトン(kT)
TNT火薬1,000トンと等価な核兵器の爆発威力を示す尺度。

近接信管(proximity fuze)
目標の近傍に接近したら爆発する信管で、電波(マイクロ波など)、圧力、磁気、振動などで感知する。

コールドランチ(cold launch)
弾道ミサイルを納めたキャニスタ(発射管)内部で蒸気を作りだすガス発生器を使用してミサイルをいったんキャニスタから射出し、その後にミサイルが空中に出た所でミサイルの第1段モーターに点火する。これにより発射管(ミサイルサイロ)が損傷を受けず、すぐに再使用できる。キャニスタからミサイルを射ち出すのに用いる蒸気の温度は、ロケットモーターの排気温度よりも著しく低いことから‘cold’という。

硬化度(hardening)
目標が耐えることができる爆風圧の平方インチ当たりのポンド数で測る尺度で、ミサイルサイロの耐圧度などに用いる。

硬化目標(hardened target)
地中に埋められたコンクリート製ミサイルサイロのように核兵器の爆風、熱および放射線効果に対して保護された目標。

攻撃下発射(launch-under-attack:LUA)
核攻撃があったことが確認されたもとでの報復の戦略ミサイルの発射で、ふつう少なくとも1発の核爆発があった後と考えられる。

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さ・サ

最大射程(maximum range)
ミサイルが到達できる最大距離(km)。

再突入(reentry)→終末段階

再突入局面(reentry phase)→終末段階

再突入体(reentry vehicle : RV)
核弾頭を内蔵しミサイル飛行経路の最終部分(終末段階)で地球の大気圏に再突入するように設計された弾道ミサイルの一部。RVが1個の核弾頭を持つ場合は、弾頭とRVは同意に用いられる。

サイト防衛(site defense)→ポイント防衛

サイロ(silo)
大陸間弾道ミサイルとその発射支援施設(発射クルーの居住区含)を納める固定地下構造物で、発射までの保護、準備を行い、発射プラットフォームとしても用いる。このサイロ構造の破壊には、高威力で正確な核ミサイルが必要である。

サステナ(sustainer)
ミサイルがブースト(加速)または発射後に働き巡航するための主推進エンジン。

酸化剤(oxide)
液体燃料ミサイルで燃料に酸素を供給する液体剤。

シースキミング(sea skimming)
海面上すれすれに巡航すること。対艦ミサイルの中間コース飛行がこれに当たる。

シェイプトチャージ(shaped charge)→ホローチャージ


シェバライン(chevaline)
1980年代初期のイギリスのポラリスミサイルに装備された核弾頭。イギリス製。

シグネチュア(signature)
ある兵器やシステムを特定できる一組の特性(形、レーダーイメージ、電子ノイズ、航跡など)探知および識別装置により表示される目標の特徴をいう。

時限信管(time fuze)
発射後ある予定時間(秒)を経過したら爆発する信管。

射程(range)
ミサイルがフル装備で飛ぶことができる距離。

終末局面(terminal phase)→終末段階


終末段階(terminal phase)
ターミナル局面または終末局面ともいう。弾道ミサイルの飛行経路の最後の段階で核弾頭やペネイドネイド(囮弾頭など)が大気圏内に再突入し目標に命中するまでの段階をいう。ふつう約1分位である。

終末誘導(terminal guidance)
終末段階で目標到達までにミサイルに行われる誘導。

ジャミング(jamming)
電波妨害、敵の情報収集を邪魔したり、誤った情報を与えたりする手段。

重ミサイル(heavy missile)
大型ペイロードを持つミサイルの分類で、SALT-II条約では旧ソ連のSS-19よりも大きいペイロードを持つミサイルと定義された。現在まで重ミサイル(重ICBM)に指定されたのはロシアのSS-18のみ。

巡航ミサイル(cruise missile)
無人のジェット推進ミサイルで通常弾頭か核弾頭を搭載し、航空機、艦艇、潜水艦、地上から発射できる。

指令信管(command fuze)
射手の指令により爆発する信管。

信管(fuze)
兵器(ミサイル)を所定の時期と場所で爆発させるよう設計された装置または機構。

ジンバル(gimballed)エンジン
任意の方向に傾けることができるようにしたピボットの上に取付けられるエンジン。

推進剤(propellant)
液体燃料ミサイルの酸化剤と燃料を合わせていう言葉。

スタンドオフ(stand-off)
離れていること。航空機が空対地ミサイルを発射できる目標からの距離。

スタンドオフミサイル(stand-off missile)
敵の防空システムの有効射程外から発射される空対地ミサイル。発射母機(プラットフォーム)は安全な位置から攻撃できる。

ステルス(stealth)
敵のレーダーや他の探知システムによる探知から航空機やミサイルをシールドするための構造設計や特殊な物質の使用の組合せ。いわゆるレーダーにも赤外線探知にも見えない仕組みをいう。ミサイルでは、アメリカのAGM-129 ACMで採用された。

スピン安定(spin-stabilized)
無誘導であるが高速でスピン(回転)することによりミサイルが目標に向かう指向性を保つこと。

スマート(smart)
特に戦術空対地ミサイルで用いる用語で精密誘導を持つことを示す。スマート爆弾は精密誘導爆弾、自由落下爆弾と対比される。TV誘導やレーザー誘導により精度を高める。

セーフガード(safeguard)
1970年代中頃に配備されたアメリカのICBM防衛システムでセンチネルシステムの修正バージョンといえる。1975年にノースダコタ州グランドフォークス空軍基地におかれたが、1年後の1976年には退役した。

セカンドストライク(second strike)
敵の最初の核攻撃に対して報復の戦略核攻撃(反撃)を加えること。

赤外線センサ(infrared sensor)
ミサイルなどの物体からの放射(赤外線)を探知するのに用いるセンサ。

セミアーマーピアシング(semi armour piercing)
半徹甲弾で、たとえば対艦ミサイルなどに用い目標(艦)の舷側を突き破り船体内で爆発する。

セミアクティブ(semi-active)
半能動と訳され、味方の照射レーダー(イルミネータ)から送られたレーダー波が目標に当たって反射または発射された放射に向かって追尾すること。ミサイルはこの反射エネルギーを探知しその方向に向かう。照射レーダーは、ミサイル自身は持たず船舶や航空機、また地上レーダーが持つ。

戦域核ミサイル(theater nuclear missile)
戦術ミサイルよりも射程が長く威力も大きいミサイルで主要な領域(たとえばヨーロッパやアジア)作戦で用いる。多くの戦略ミサイルは戦域でも用いることができるが、すべての戦域ミサイルが戦略使用できる訳ではない。ロシアのSS-20やアメリカのパーシングIIなどが戦域ミサイルにあたる。

センサ(sensor)
目標からの放射を探知・追跡・識別することができるように設計された装置。

先制使用(first use)
旧ソ連とその同盟国による通常兵器の攻撃を思いとどまらせ、また退けるために、必要ならアメリカとその同盟国が核兵器を最初に使用するだろうということを述べたドクトリン。1982〜83年のNATO討議の話題であった。

先制第一撃(first strike)→ファーストストライク

センチネル(sentinel)
1967年ジョンソン大統領によって承認されたアメリカの対弾道ミサイルシステムで、たとえば中国からの小規模核攻撃などのような‘軽い’攻撃に対して都市を守るように設計されたシステムで後にセーフガードシステムに改編された。

全天候(all-weather)
昼夜・天候のいかんを問わず使用できる(航空機、ミサイルなど)。

戦略防衛構想(strategic defense initiative)→SDI

層化防衛(layered defense)
敵の弾道ミサイル攻撃に異なった4つの局面(段階)に応じて効じる多層の弾道ミサイル防衛。

早期警戒(early warning)
敵の弾道ミサイル発射の早期探知のことで、通常監視衛星か長距離レーダーにより行われる。

ソフト目標(soft target)
ハード(硬化)でない目標のこと。攻撃に対して保護されていない目標のこと。

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た・タ

ターボジェット(turbojet)
空気がタービン駆動コンプレッサから供給され、そのタービンは排気ガスによってアクチベートされるジェットエンジン。

ターミナル局面(Terminal Phase)→終末段階

対衛星兵器(anti-satellite weapon)
地球軌道上の敵衛星を破壊または機能停止するように設計された兵器システムで、地上・空中または宇宙に配備される。ASATと呼ばれる。

大気圏内/外(endo/exo-atmospheric)
地球の大気圏(高度90マイル)内/外。

対戦術弾道ミサイル(anti-tactical ballistic missile : ATBM)
短距離または戦術弾道ミサイルを迎撃するように設計された防衛ミサイル。

対弾道ミサイル(anti-ballistic missile : ABM)
戦術攻撃ミサイルまたは再突入体を迎撃し破壊するように設計されたミサイル。

弾頭(warhead)
ミサイルのペイロードに含まれる兵器(ふつう核弾頭を指す)、核・通常(高性能爆薬など)・化学などにより目標を破壊、または損害を与えることを意図した要素を含むミサイル・魚雷・ロケット・プロジェクタイルまたは他の弾薬の一部。

弾道ミサイル(ballistic missile)
飛行の初期にブースタ(加速ロケット)で加速したミサイルで燃焼が完了すると目標に向かって自由落下弾道軌道に沿って落下するミサイル。

断熱シールド(ablative shield)
熱せられると蒸発するシールドで、これによりエネルギーを吸収し熱破壊から再突入体を保護することができる。このシールドは大気圏内に再突入する再突入体(弾頭)の破壊を保護するために用いる。ablativeとは蒸発とか融解などによる断熱を示す。

遅延信管(delay fuze)
着弾後ある時間をおいて爆発させることを目的とした信管。

地形等高線照合(tercom)
巡航ミサイルに採用されている誘導システムで、予めプログラムされた等高線地図データと飛行中の地形との相関関係を見ながら飛行経路を修正する誘導方式。

着発信管(fuze quick)
着弾の瞬間爆発する信管、対抗物に命中したら爆発する信管。

チャフ(chaff)
敵のレーダーを欺くために弾頭の周囲にレーダー信号に反射するように航空機やミサイルから放出される反射物質(スズ箔、アルミホイル、アルミ被覆ナイロン、グラスファイバ)。

中間コース段階(midcourse phase)
弾道ミサイルの飛行経路の第3局面でポストブースト局面と終末局面の間の段階で、4局面のうちで時間的に一番長い段階である。大気圏外を飛び、弾道ミサイル経路の大部分がこの段階にある。中間コース局面ともいう。

中性子爆弾(neutron bomb)
小型の水爆で爆発力は5分の1程度におさえ、代りに中性子など放射線量を5倍程度に増加し建物などの破壊よりも人員殺傷に重点を置いたもの。アメリカのLanceミサイルに搭載された。

直接エネルギー兵器(direct energy weapon)
高エネルギーレーザーや荷電粒子ビームを使った兵器でSDIシステムで検討された。

超音速ガン(hypervelocity gun)→レールガン

追跡(tracking)
光学的、レーダーまたは他の手段により、移動目標のコースを自動的または手動的にフォロー監視すること。

通常弾頭(conventional warfare)
核でない弾頭(非核弾頭)のこと、たとえばHE(高性能爆薬)など。

低下飛翔経路(depressed trajectory)
最小エネルギー飛翔経路の角度よりも著しく低い地上との角度で発射される弾道ミサイルの飛翔経路。このような経路によりミサイルは探知が困難で警報時間を減らすことができる。

ディスクリミネーション(discrimination)
本物の弾頭と囮弾頭を監視システムが識別(区別)するプロセス。

デコイ(decoy)
囮弾頭、敵を欺くように設計された対象物で、核弾頭に似せて(そのように見えたり、ふるまったり)作られた軽量のおとり弾頭。これにより防衛綱貫通能力確率を高め再突入体(核弾頭)と共に用いる。デコイは、実際の弾頭よりコスト的に安く多数の展開が可能である。

徹甲弾(armour piercing ammunition)
弾丸の持つ運動エネルギーによって装甲または堅固な目標を貫通することを目的にした弾丸(弾頭)をいう。

鉄道配備(rail garrison)
アメリカのICBM MXミサイル(Peacekeeper)のために計画された移動ベーシングモードで、ミサイルは鉄道貨車に配備されて国中を移動するというもの。ロシアのICBM SS-24も鉄道配備ミサイルである。

デュアル能力(dual capable)
同じプラットフォームまたはミサイルを用いて2種類の異なったミッション即ち核兵器と非核兵器の両方のデリバリができること。

テレメトリ(telemetry)
ミサイルや兵器のテストの性能についての情報を得るために飛行テスト中にミサイルやセンサから伝送される電子信号。

電磁パルス(electromagnetic pulse : EMP)
核爆発、特に大気圏外での爆発により生ずる電磁エネルギーの破裂でその結果の電磁場により遠距離において保護されていない電気・磁気装置が大きな損害をうけること。

投射重量(throwweight)
ミサイルが特定の射程で運搬できる最大重量。SALT-II条約では、再突入体、ポストブーストビークル、ペネイド(放出装置も含む)の重量の合計と定義された。

トップアタック(top attack)
装甲が比較的薄い戦車のトップ(砲塔の上部)をねらう方式。

ドップラーレーダー(doppler rader)
レーダーと目標間の相対速度により引き起こされる周波数変化に依存するレーダー。

トライアド(triad)
アメリカ・ロシアの戦略核戦力の3要素を示す伝統的用語でICBM、SLBMおよび戦略爆撃機を指す。

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な・ナ

熱核爆弾(thermonuclear bomb)
核融合反応からエネルギーを利用した核兵器で水素爆弾をいう。

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は・ハ

ハード目標(hard target)
核爆発およびそれに関するオーバプレッシャ、熱、放射線、電磁パルス、地上衝撃などに耐え得る目標をいう。厳密でない表現では単に装甲されているとかコンクリート製で地下に埋められているなどの状態を示す。

バーニア(vernier)
最終の精密微調整のことで、ICBMの正確な射程を達成できるように最終のカットオフ速度を調整する小型ロケット(エンジン)を示す。

バーンアウト(burnout)
すべてのロケット燃料が燃焼しつくした点。

ハイパーソニック(hypersonic)
極超音速でマッハ5かそれ以上の速度をさす。

爆風(効果)弾頭(blast warhead)
爆風により空気の圧力を使って破壊する弾頭で榴弾・爆弾などであり主に構造物、航空機、人員を対象にする。爆発する瞬間の中心は約10万気圧位でこれが爆風を生む。

爆風破片(効果)弾頭(blast/fragmentation warhead)
薄いケーシングやロッドの爆風と破片の両方の効果を持つ弾頭。

パシブホーミング(passive homing)
目標からの放射(反射)を受けそれに向かって追尾すること。自らは何も放射しない。

バス(bus)
弾道ミサイルにおいて、ブースタの燃焼が完了し最後の弾道に弾頭やおとり弾頭を目標に向かう弾道経路上に乗せるロケット推進最終段。ポストブーストビークル(PBV)とも呼ばれる。

バス展開局面(bus deployment phase)→ポストブースト局面

発射重量(launching weight)
発射時に満載したミサイルの重量。kgで示す。

発射プラットフォーム(launch platform)
そこからミサイルを発射するプラットフォームで車輛、艦艇、航空機などをいう。

破片効果弾頭(fragmentation warhead)
中の炸薬が爆発する時に、その圧力で外殻がこわれその爆発の破片の運動エネルギーで破壊する弾頭で、航空機、人員、軽車輛を対象にする。

半数必中界(circular error probable)→CEP

半数命中半径(circular error probable)→CEP

ビーム兵器(beam weapon)→直接エネルギー兵器

ビームライダー(beam rider)
レーダービームの中心に沿ってミサイルを飛行させるように自動的に保つ受信機と制御システムを持った方式。

非核キル兵器(nounuclear kill weapon)
核を用いない目標破壊兵器。

ピルボックス(pillbox)
モスクワのABM防衛でクリティカルな役割を演ずる大型のフェーズドアレイレーダー。

ブースタ(booster)
ミサイル発射時に大きな推力を出し高い加速を与えるために、短時間に大きな推力を与えるのに用いる推進システム。

ブースト局面(boost phase)
弾道ミサイル飛行の最初の局面でミサイル発射から最終段が燃焼し終えるまでの局面をいう。ICBMの場合、この局面はふつう180〜300秒かかる。

ファーストストライク(first strike)
報復能力を破壊しようという試みで敵の戦略核戦力にかける奇襲第一撃。

ファストバーンブースタ(fast-burn booster)
現在のミサイルよりもより早く燃焼が終わることのできる弾道ミサイルで、これにより最も発見されやすく破壊されやすい時間を短縮できる。

フェーズドアレイレーダー(phased array radar)
アンテナを機械的に移動(動かす)することなしに異なった方向に電子的にビームをポイントするレーダーで、先進的防衛に必要なスピードと精度を持っている。

フォールアウト(fallout)
核爆発により作られたゴミの雲から放射性粒子が拡散すること。

ブラックアウト(blackout)
特に高空での核爆発による現象で、大気圏の大きなゾーンがイオン化されレーダービームが通過できなくなる状態。低周波数レーダーは特にこのようなブラックアウトに弱い。

ブリリアントペブルス(brilliant pebbles)
輝く小石と名付けられたブーストおよびポストブースト局面の弾道ミサイルを攻撃するように設計された、小型で独立に軌道に乗っているロケットの概念。

フレア(flare)
自機または自艦の防衛用に展開するものでミサイルが赤外線追尾を始めようとする前にその目標よりフレアを散布し、フレアその物にミサイルのロックオンを転換させる赤外線光を輻射する物質。マグネシウムおよびテトラフルオルエチレンの混和物。

ベーシングモード(basing mode)
兵器システムを配備し作戦可能状態にする方法。

ペイロード(payload)
弾道ミサイルにより運搬される弾頭や、ペネイドおよびPBVの合計重量のことで運搬システム(ミサイル)の運搬能力ともいわれる。

ペネイド(penaid : penetration aids)
囮(デコイ)やチャフなど敵の防衛を突破するための技法・デバイスで、それらはしばしば敵のレーダーを誤った方向へ導くために弾道ミサイル弾頭をシミュレートしたりマスクしたりするように設計されている。

ペネトレーションエイド(penetration aids)→ペネイド

ポータブルミサイル(portable missile)
携帯用ミサイルで兵士1人で持ち運びできる地対空ミサイルや対戦車ミサイル。

ホーミング装置(homing)
ミサイルに搭載されたセンサ装置で目標位置を探知し目標の将来位置を予測し、目標の撃墜のためにミサイルをその方向に誘導するためにセンサを用いる装置。

ポインティング(pointing)
目標を追跡し破壊するために目標にセンサまたは防衛兵器の狙いをつけること。

ポイント防衛(point defense)
攻撃ミサイルに対して広域の防衛よりむしろ個々の目標または地点(たとえば個艦やミサイルサイロなど)の防衛。

防空(air defense)
敵の爆撃機やミサイルから民間・軍事施設を守ること。

ポストブースト局面(post-boost phase)
MIRV搭載弾道ミサイルにおいて、ブースト局面が完了し複数弾頭を異なった目標に向かって異なった飛行経過に置いてゆくミサイルの弾道飛行部分をいう。ポストブーストビークル(バス)が個々の弾頭を放つ。

ポストブーストビークル(post-boost vehicle : PBV)
MIRV弾道ミサイルのペイロードの一部で再突入体、誘導パッケージ、燃料、推進システムから構成される小型ロケットで各々の弾頭を別々の目標に向かわせるために最終軌道に載せる機能を持っている。バスともいわれる。

捕捉(acquisition)
目標を探知するプロセス。

ホットランチ(Hot Launch)
弾道ミサイルの発射において地下サイロ内から直接発射する方式。ミサイルの排気熱・衝撃などでサイロは損傷を受ける。

ホローチャージ(hollow charge)
成形爆薬・指向性爆薬で一方向に爆発圧力が集中して貫通力を大ならしめるために形を円錐形にして中空にした爆薬。

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ま・マ

ミサイル拡散(missile proliferation)
以前所有していなかった国々に大量破壊の弾道ミサイル・核兵器が拡がってゆくこと。

ミサイル駆逐艦(missile destroyer)
艦隊防衛用の中・長射程の対空ミサイルを搭載した駆逐艦でアメリカ海軍の艦種記号でDDGに当たる。日本ではあまつかぜ(第1世代)、たちかぜ級(第2世代)、はたかぜ級(第3世代)がこれにあたる。

ミサイルサイトレーダー(missile site radar : MSR)
セーフガードABMシステムで短距離追跡および迎撃ミサイルの誘導に用いるフェーズドアレイレーダー。

ミサイルサイロ(missile silo)
近傍での核爆発の破壊効果から陸上ベースのミサイルを保護するよう設計されたコンクリートまたは鉄構の地下構造物。

ミサイル艇(fast missile craft)
満載排水量約数百トンの水上戦闘艇で艦対艦ミサイルを主要な兵器とし、近海や沿岸海域で行動する。日本ではミサイル艇1号級3隻がある。

ミジェットマン(midgetman)
1990年代初期にアメリカで展開される予定であった小型単弾頭ICBMの名称。

メガトン(megaton : MT)
TNT火薬100万トンに相当する核兵器の核出力(威力)の単位。

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や・ヤ

有線誘導(wired guidance)
ミサイル(対戦車ミサイル)と誘導指令をする射手とを結ぶ極細の絶縁の電線(ふつう2本)を通して伝送される電気信号による誘導。射手は目視で目標とミサイルを追跡し制御装置を扱いながら有線でミサイルの操舵信号を伝える方式。

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ら・ラ

ラジオ指令(radio command)
ラジオリンクを経由した人間によるミサイルの操縦。

ラムジェット(ramjet)
エンジンの前方運動によって起こる空気圧縮に依存しコンプレッサもタービンもないジェット推進エンジン。

ランチャ(launcher)
ミサイルを発射する装置のことでミサイル発射機をいう。

リーケージ(leakage)
目標に向かって敵の防衛システムを突破できる再突入体のパーセンテージ。

リアクション時間(reaction time)
ミサイルが発射できる態勢になれる最小時間で、はじめて目標を探知してからか、発射命令が下った時から測られる。

ルックダウン(look down)
高高度から低高度で飛んでいる目標を探知し追跡するレーダーの能力。

レーダー(radar)
ラジオ波を伝送し目標からの反射波をセンスすることにより目標を探知するための技法またはシステム。反射波には目標までの距離、方向、速度、大きさ、形状などを含む。Radio Detection And Rangingの頭文字を取ったもの。

レールガン(railgun)
2本の金属レール間で電気的に対象物を加速する原理を用いた兵器でハイパーベロシティガンともいう。主に弾道ミサイル、PBV、再突入体および衛星を破壊する兵器。電気エネルギーを磁気圧力に変換し光速に近い速度で誘導体を発射できる。

レイヤード防衛(layered defense)→層化防衛


ロックオン(lock-on)
追跡システム(レーダー、赤外線、光学的手段)がたえず目標をとらえ続けていること。

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A

ABM(Anti Ballistic System)
対弾道ミサイルで飛来する敵の弾道ミサイルを迎撃するよう設計されたミサイルシステム。

ALPS(Accidental Launch Protection System)
事故や誤って発射された少数の弾道ミサイルに対応するように設計された限定的ABMシステムで、LPS(限定的プロテクションシステム)ということが多い。

ASAT(Anti-Satellite Weapon)
宇宙空間で衛星を破壊する目的で設計された兵器(ミサイル)。

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B

BAMBI(Ballistic Missile Boost Phase Intercept)
1950年代後半から1960年代前半にかけてアメリカで行われた研究プロジェクトで宇宙配備の迎撃システムの可能性を研究した。

BMD(Ballistic Missile Defense)
敵弾道ミサイルを迎撃するための防衛システムで多層で防衛する方式がSDIで試みられた。

BSTS(Boost Surveillance and Tracking System)
静止軌道に置かれた先進的な早期警戒衛星でブースト局面のソ連のミサイルを探知し追跡する赤外線センサを搭載している。

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C

CEP(Circular Error Probable)
ミサイルの命中精度を示す尺度で弾頭の半数が目標を捕らえたときの着弾半径。ふつうmで示す。この半径の円の範囲内に半数の弾頭が着弾する。

CLOS(Command to Line Of Sight)
目視指令有線誘導方式のことで射手は目で追跡し手動でミサイルの制御をしその制御信号を有線でミサイルに伝える。第1世代の対戦車ミサイルで使用した。

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E

ECCM(Electronic Counter-Counter Measure)
電子妨害対抗手段で、敵が妨害を使用するか否かにかかわらず、味方のレーダーや追尾ミサイルの有効な使用を確実にするための行為。

ECM(Electronic Counter Measure)
ESMの情報のもとに敵の電子機器の妨害や欺瞞を行うもの。敵の無線機、レーダーやミサイルを制御する電子的センサを妨害または欺瞞するもの。

ESM(Electronic Surveillance Measure)
電子探索手段で、電波を傍受しその発信源の方向・位置を知り、その信号を分析してその特性から発信源を特定(たとえば艦の型など)する。

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F-G

Fire Control System
ミサイルの発射を計画し、準備し、制御する装置。火器管制装置といわれる。

GPALS(Global Protection Against Limited Strikes)
限定的攻撃に対する地球的保護といった意味で従来のSDI(戦略防衛構想)の考え方を限定された弾道ミサイル攻撃向けに再定義したもの。

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H

HE(High Explosive)
火薬(Low Explosive)に対する言葉で高性能爆薬のこと。

HEAT(High Explosive Anti Tank)
対戦車榴弾。

HOE(Homing Overlay Experiment)
アメリカ陸軍の弾道ミサイル防衛迎撃ミサイルテストで、1984年6月に行われた実験ではHOEキルビークルは実際のICBM再突入体(ダミー)と衝突・破壊した。

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I

IFF(Identification Friend or Foe)
敵・味方の識別。

INF(Intermediate-Range and Shorter Range Missiles)
射程500km〜5,500kmの地上ベース弾道ミサイルおよび巡航ミサイルを含む兵器で、たとえばアメリカのPershingIIやロシアのSS-20をいう。

IOC(Initial Operational Capability)
ある兵器システム(ミサイル)が運用部隊によって用いる能力があると考えられる、同意された日をいう(作戦配備開始日とか初度作戦能力達成日という)。戦場において戦闘任務が遂行できるようになる日をいう。

IRTH(Infra Red Terminal Homing)
目標接近時のみの赤外線追尾。

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J-L

JATO(Jet Assisted Take-Off)
ミサイル発射時に加速をつけるために用いるジェットブースタ。

KEW(Kinetic Energy Weapon)
目標破壊のために運動エネルギーを用いる兵器(ミサイル)。

LEO(Low Earth Orbit)
人工衛星の低地球軌道。

LOX(Liquid OXygen)
液体酸素。液体燃料ミサイルの酸化剤。

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M

MaRV(Maneuvering Reentry Vehicle)
再突入段階で予め計画された進路変更を実行する能力を持った再突入体で進路修正可能再突入体といわれる。

MHV(Miniature Homing Vehicle)
航空機(F-15)発射の直接上昇攻撃用対衛星ミサイル。

MIRV(Multiple Independently Targetable Reentry Vehicle)
単一弾道ミサイルによって運搬され別々の目標に誘導されうる2個又はそれ以上の再突入体のグループで、個別誘導複数目標弾頭といわれる。

MMH(Mono Methyl Hydrazine)
モノメチルヒドラジンでミサイル燃料の1種。

mod
改良(改修)型を示す。modificationまたはmodelの省略形。

MTCR(Missile Technology Control Regime)
ミサイル関連技術輸出規制で、弾道ミサイル技術の輸出を規制するための西側7カ国の合意。

MRV(Multiple Reentry Vehicle)
複数再突入体で1基の弾道ミサイルにより複数個の弾頭が運ばれる。しかし、MIRVのように個々別々の弾頭が独立に別々の目標を照準する能力はない。

MXミサイル(MX missile)
実験ミサイルを指すが、実際はLGM-118 Peacekeeper ICBMの実験段階での名称。

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N-R

n.m.(nautical mile)
海里、約1.15マイル、1.852km。

NORAD(North American Aerospace Defense Command)
航空機や弾道ミサイル攻撃に対し航空宇宙監視と北アメリカの防衛に責任を持つアメリカとカナダ合同の北米防衛指令部。

OTHレーダー(Over The Horizon Radar)
視界外レーダーで水平線下のかなたの目標も探知できるレーダー。

PAR(Phased Array Radar)→フェーズドアレイレーダー


psi(pounds per square inch)
核爆発の衝撃波の強度を測る尺度で、攻撃に耐えるための構造強度や核爆発の効果の計算に用いる。ミサイルサイロの硬化度の尺度によく用いられる。1平方インチ当たりのポンド数で表わす。

RP-1(Rocket Propellant No.1)
ケロシンタイプのロケット燃料。

RV(Reentry Vehicle)
核弾頭を内蔵する小型のコンテナで再突入体という。弾道ミサイルの先端部に1個または複数個(多いもので10数個)が搭載される。

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S

SACLOS(Semi-Automatic Command to Line Of Sight)
半自動指令照準線一致誘導方式のことで、射手が誘導システムの照準器の十字線の中心に常にミサイルをのせるように誘導信号を送る方式。照準線とミサイルのズレはコンピュータで自動的に計算しワイヤーを使ってミサイルに操舵信号を送る。第2世代の対戦車ミサイルに用いた。

SAGE(Semi-Automatic Ground Environment)
防空システムで地対空ミサイルや迎撃機に警報を与えてコントロールするシステムで半自動(地上)航空警戒・管制システムという。

SALT(Strategic Arms Limitation Treaty(Talks))
戦略兵器制限交渉のことでアメリカと旧ソ連の間で行われた両国の戦略核戦力を制限するための交渉で、1969年から1979年の間に行われた。1972年にはSALT−I、ABMの両条約、1979年にはSALT−II条約が締結された。

SDI(Strategic Defense Initiative)
レーガン大統領が提案し実施に移した、旧ソ連の核ミサイルからアメリカを守る構想。技術的困難や政治的配慮により中止になった。

SDIO(SDI Organization)
SDI計画を管理したペンタゴンの一組織名。

START(Strategic Arms Reduction Treaty)
戦略兵器削減交渉のことでアメリカと旧ソ連の間で行われた両国の戦略核戦力を削減するための交渉。

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T

TEL(Transporter-Elector-Launcher)
道路移動型弾道ミサイルを運搬・移動し、ミサイルを発射位置に直立させ、ミサイルの発射用のプラットフォーム(発射機)として用いるように設計された車輛。

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